ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は、核内レセプタースーパーファミリーの一員である。げっ歯類、ヒトおよび両生類では3種類のPPARが報告されている。PPARαは高脂血症治療剤、PPARγは糖尿病治療剤、最近では、PPARδは抗肥満薬として注目され、PPARを活性化する薬剤は、高脂血症、糖尿病、肥満を同時に治療することが可能となり、国内外にとわず、PPARを活性化する薬剤の探索が盛んに報告されている。しかしながら、従来検討されてきたtransient transfection assay法による薬剤の探索のための転写活性測定法は、多数のリガンドを探索するに多大な労力を必要としていた。そこで、今回我々は、以前からヒトPPAR、LXR、CBP/p300、SRC-1の全長をクローニングしているので、これらを利用し、CBP/p300およびSRC-1などのcoactivatorを介したPPARへのリガンド結合能力のみが評価することが可能なCARLA法の確立を検討した。さらに、ヒトPPARα、PPARδ、PPARγ、CBP/p300、SRC-1、SREBP-1のGFPフージョン蛋白およびHisフージョン蛋白を精製し、それぞれの蛋白・蛋白会合能力の測定を可能にした。さらには、我々の実験結果より、以上のような転写因子が、ダイオキン受容体のようなPASドメインを有する転写因子と、蛋白・蛋白会合能力を有することも明らかとなり、ヒトPPARα、PPARδ、PPARγの転写活性をCBP/p300、SRC-1などのコアクチベターを伴い種々の転写因子が調節し合って、ネットワークを形成していることが判明してきた。
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