研究概要 |
以下を目標に研究を継続しているがそれぞれの中間報告をする。 ヘパリン投与前血漿リポ蛋白リパーゼ(preheparin LPL)の生理的意義を動物実験より明らかにする。2.preheparin LPL massがpostheparin LPLmassに勝る臨床的測定意義を見い出す。3.preheparin LPL蛋白量(mass)測定をLPL欠損症のスクリーニング検査としてその地位を確立する。1インスリン抵抗性でLPL生成が低下しているマウスにインスリン抵抗性改善薬のpioglitazoneを投与しpreheparin, postheparin LPLmassと骨格筋、脂肪組織のLPLmRNAとの関係を調べた。ラット、マウスにおいてpreheparin LPL massはヒト(50ng/ml)に比べ著しく低値(0〜5ng/ml)であり、pioglitazone投与でも増加しなかった。postheparin LPLmassはインスリンの改善とともに有意に増加し、これは脂肪組織のLPLmRNAの増加と関連し、pioglitazoneのPPAR-gamma生成を介することを発見し、現在論文を投稿中である。2 preheparinLPLmassとpostheparin LPLmassは弱い相関を認め、女性で高値。糖尿病、高TG血症、低HDL-C血症ではとも低下。preheparin LPLmassはBMI、インスリン抵抗性と逆相関したがpostheparin LPLは相関せず。preheparin LPLmassはVLDL、RLP-C、LDLサイズと相関したがpostheparin LPLは相関を示さず。フィブラートでpreheparin LPLは69%,postheparin LPLは23%増加。しかしオフトクリームによる脂肪負荷試験でpreheparin LPLはTGの増加には相関をしめさなかった。preheparin LPLは全身のLPLの生成をpostheparin LPL以上に反映するが瞬間的なTG分解機能とは相関しないと考えられる。3 LPL欠損症患者ではpreheparin LPL massが全く検出されないことを見い出した。当患者の家族から3名のLPL欠損症ヘテロ接合体を診断し、LPLを測定したところPHPのLPL及びpreheparin LPL massが20ng/ml以下と低下していた。さらにTG値が2000mg/d以上の高TG血症の患者5名のうち2名が非活性型LPLタンパクが著しく低下しており、その内の1名にLPL遺伝子変異を見い出した。LPL欠損症患者のpreheparin LPLmassとmassPreheparinとpostheparin LPLmassの比較は現在論文としてまとめ投稿中。
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