研究課題/領域番号 |
14571111
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
坂本 秀生 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (30225817)
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研究分担者 |
本田 伸一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40257639)
内海 俊明 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (10176711)
原田 信広 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00189705)
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キーワード | エストロゲン / ホルモン依存性腫瘍 / 乳癌 / アロマターゼ / ステロイドサルファターゼ |
研究概要 |
エストロゲンの生合成と代謝には、aromataseの他17β-hydroxysteroidudehy drogenase type1(HSD1)、HSD2、steroid sulfatase(STS)等、複数の酵素が関与して量が調節されている。ゆえにエストロゲンは血中からの供給以外に、局所で産生される機構にも考慮が必要である。本研究では乳癌細胞内でのエストロゲン動態を調べる事を目的とし、培養細胞を用いて研究を行った。 乳房脂肪組織間質細胞、乳癌由来培養細胞のMCF-7、MDA-MB、ZR75、T47D。エストロゲン代謝・合成酵素(AROM、STS、EST、HSD1、HSD2)を安定的に発現するよう形質転換させたMCF-7を用いた。閉経後婦人の平均的なステロイドレベルになるようにTestosterone、Androstenedione、DHEA、DHEAS、E1、E1S、E2、Progesteroneを添加し、同時に代謝阻害剤・拮抗剤を作用させて培養した。 その結果エストロゲン受容体(ER)を有さない細胞では、ステロイドの有無や薬剤添加での増殖率変化は無かった。ERを有する細胞ではER拮抗剤の投与により増殖が抑制された。STS阻害剤によりMCF-7、ZR75、T47Dではステロイド未添加群と同レベルまで増殖が抑制された。これはSTS阻害によりE1Sからのエストロゲン産生が抑制されたためと考えられる。ESTを導入した細胞ではステロイドや薬剤の有無による増殖の差はなかった。これはESTの過剰発現によりE2やE1がE2SやE1Sに代謝され、細胞内エストロゲンの減少により、増殖が抑制された可能性が考えられる。エストロゲン依存性癌のエストロゲン動態では、エストロゲン合成・代謝酵素が局所のエストロゲン供給に関わる事、E1Sは生体内でのエストロゲン貯蔵型として存在し得る事等を考慮する示唆を得た。
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