血漿HDL-Cおよびpreβ1HDL-C濃度に影響を与える遺伝的要因についての検討を、110例の正常ボランティアにおいて行った。そして、CETP Taq1B遺伝子多型:B1B1、B1B2、B2B2およびHL-514遺伝子多型:C/T、C/C、T/Tについて調べ、その結果、CETP遺伝型B1アリルおよびHL-514遺伝型Cアリルが血漿HDL-Cとともにperβ1HDL-C濃度低下に関与する遺伝子多型であることが示された。 次に、CETP B1アリルとコレステロール逆転送系の関係について検討した。110例のボランティアから血液を採取し、その中でCETP B1アリルを有したものは65例であった。ホモ型であるB1B1を示した12例について検討すると、pre β1HDL-C濃度が肥満度BMIと逆相関すること、その関係はCETP濃度やCETP活性などとは独立して認められることが明らかとなった。すなわち、肥満の関与によって血清HDL-C濃度が低下するとともに、コレステロール逆転送系において重要な役割を担っているpre β1HDL-C濃度が低下することが示され、そのことがB1遺伝型において量賭であることが分かった。 糖尿病患者におけるCETP B1遺伝型を有する例について、さらにHDLリモデリングを解析した。その結果、環境的因子や血清脂質をマッチさせ、さらに薬物の影響を除外した条件下で検討すると、糖尿病のCETP B1アリルおよびHL-514Cアリルが血漿HDL-C濃度低下に関与する遺伝子型であることが判明した。 但し、pre β1HDL-C濃度との相関関係については、明らかな結果は得られなかった。その臨床的意義について、現在検討中である。
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