(1)ACIラットの胸腺を0.1-0.3mm立方に細切、これをLewisラットの門脈内に投与した。リンパ球の門脈内投与群に比べては胸腺を細切したクラスターを門脈内に投与した群は心移植の生着延長を認めなかった。しかし、リンパ球の皮下投与群に比べては有意に反応性の低下を認め、心移植の生着延長も認めた。肝臓内に移植した胸腺クラスターは一部分が胸腺の組織と同様な形態で肝臓内に生着しておりその形態を保っていた。 (2)BALB/C to B6のマウス実験系を用い、胸腺上皮細胞、胸腺ナース細胞を門脈内に投与し、単なるリンパ球の投与群と比べてMLR反応の差を検討したが、皮下投与、静脈内投与群に比べて有意に反応性の低下を認めたが、脾臓細胞の門脈内投与した群と胸腺上皮細胞、胸腺ナース細胞を門脈内投与した群に有意差は見られなかった。 (3)ACIラットの胸腺クラスターをLewisラットの肝臓内に移入した後、末梢血中、脾臓、リンパ節内のリンパ球にドナー細胞が存在するキメリズムがおきているかついて、MHCをマーカーにして免疫染色にて調べたがLewisラットの細胞からACIラット由来の細胞は検出できなかった。 (4)糖尿病ラット同系ラ氏島門脈内移植で、血糖正常化に必要なラ氏島数を検討した。ラ氏島は平均直径150μmのものを1IQとして算定した。その結果、20IQ以上で血糖が正常化した。胸腺クラスターと混合投与数を20IQとした。 (5)ACI to Lewis膵臓ラ氏島移植の生着延長のために胸腺混合投与を行い検討した。胸腺クラスター5-8個を混合投与すると、門脈投与すると門脈塞栓が起きた。このため、胸腺クラスターを厳密に5個投与したが、門脈塞栓を引き起こした。次に、胸腺クラスターをトリプシン処理し、5個分に相当するsingle cell suspensionをクラスターの代わりに投与した。しかし、門脈塞栓を引き起こした。
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