研究概要 |
エピトープペプチドを決定するため、HLA-A^*2402のbinding prediction score (BLAST ; http://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/blast.html)を参考に、HER2/neu,p53,KDRのアミノ酸からエピトープペプチド候補を類推し、それらを合成した。ペプチドが細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導できるか否かは樹状細胞(DC)を用いた方法で検討した。すなわち,HLA-A^*2402陽性の健常人末梢血単核球(PBMC)よりGM-CSFとIL-4を用いてDCを誘導し、OK432でDCを成熟化し用いた。このDCに候補ペプチドをパルスして抗原提示細胞(APC)とし、同PBMCよりCD8豊富な分画を刺激した。刺激にあたっては低濃度のIL-2,IL-7を加え、その後、1週ごとにペプチドをパルスしたDCで刺激を合計3度繰り返した。まず,TISI(HLA-A^*2402を有するEB virusにより不死化した細胞)に誘導に用いたペプチドをパルスしたものを標的細胞とし、それに対する細胞障害活性を測定し,活性のあったwellを増殖させて,CTLラインを樹立した。さらに,候補ペプチドを用いて樹立したこれらのCTLがペプチド傷害性のみならずClass I拘束性にCD8陽性T細胞がこれら標的分子を内因性に発現している細胞を認識、傷害することを証明するために、限界希釈法にてCTLクローンを樹立した。こういう特徴を有したCTLクローンが樹立できてこそ,そのCTLの刺激に用いたペプチドがエピトープペプチドと認知できることとなる。このCTLクローンの腫瘍抗原特異性およびHLA拘束性をCold target inhibition assay(放射性ラベルしないTISIに誘導したペプチドを添加した細胞との共培養によって、特異的に細胞障害活性が抑制される)および抗体を用いた阻害試験で確認した。エピトープペプチドが決定できたことより、このペプチドをHLA拘束性に認識するTCRを有したCTLが存在することが証明できる可能性がある。
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