研究課題/領域番号 |
14571128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
角田 卓也 東京大学, 医科学研究所, 講師 (30275359)
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研究分担者 |
高山 卓也 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10332579)
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | エピトープペプチド / HER2 / neu / p53 / CTL / がんワクチン |
研究概要 |
癌細胞内で過剰に合成された腫瘍関連抗原蛋白はペプチドに断片化された後にHLA class I-peptide complexとして細胞表面に表出される。これが腫瘍特異的細胞障害性T細胞(CTL)により認識される機序が解明されたことにより、癌ワクチン療法に対する期待が高まっている。欧米のみならずわが国でも、この機序を応用した癌ワクチン療法の臨床応用が開始されている。我々も消化器癌、肺癌、甲状腺癌に高発現している癌胎児性抗原(CEA)を標的とした癌ワクチン療法やgp100由来エピトープペプチドを用いたメラノーマに対する臨床試験を施行した結果、ワクチン後確かにCTLが誘導できるのを確認できた。しかし、腫瘍マーカーの著減などの効果を得た症例も経験したものの、臨床効果は十分とは言いがたいのが現状である。そこで、多数の腫瘍関連抗原に対するエピトープペプチドを決定し、さらにより効率よく特異的CTLを誘導することで、従来の癌ワクチン療法における弱点を克服した新たな癌ワクチン療法(ペプチドカクテルワクチン療法)を開発することを本研究の究極の目的とする。エピトープペプチド決定のための至適条件を決定できた。すなわち、末梢血単核球から樹状細胞(DC)を分離、OK432にて刺激し、成熟化DCにペプチドをパルスしたものでCD8陽性リンパ球を刺激することにより、効率に細胞障害性T細胞(CTL)が誘導できることが判明した。このシステムを利用し、HER2およびp53分子由来HLA-A^*2402拘束性エピトープペプチドを決定した。HLA-A*2402は日本人の約60%が持っており、本邦におけるがんワクチン療法を考える際にもっとも有効なものである。決定したエピトープペプチドにより誘導したCTLはペプチドをパルスした標的細胞のみならず、HER2やp53を持っている標的細胞(腫瘍細胞株)に対し、HLA拘束性の細胞障害活性を示すことを証明した。また、HER2のエピトープペプチドに関しては、そのペプチドはリーダーシークエンス部に位置しており、TAP欠損に伴うHLA分子の欠損した腫瘍細胞にもがんワクチン療法の標的となりうる可能性が示唆された。
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