研究概要 |
温阻血後の膵腎自己移植モデルにおけるガベキセート・メシレートの膵腎機能保護効果 (目的)自己膵、腎の温阻血・再潅流障害に対する蛋白分解酵素阻害剤ガベキセート・メシレート(FOY)の効果を検討すること (方法)雑種成犬を用いて膵体尾部を摘出潅流ののち頚部に自己移植、左腎を摘出潅流ののち腸骨窩に自己移植した。実験群は2群(FOY群、無処置群(C)群、各6頭)に分け、FOY群はFOY 5mg/kg/hrを再潅流1時間前より3時間後まで持続静注した。腎機能(Cr, BUN)、膵機能(Amylase, Lipase)、腎・膵組織血流(TBF)、末梢血単核球IL-1b mRM、を経時的に測定し、72時間後に犠牲死させ、病理組織標本、TUNEL染色を行い比較・検討した。 (結果)Cr, BUNはFO群において有意に上昇が抑制された(72時間Cr C群:11.25±2.4mg/dl, FOY群:5.19±3.3mg/dl)。腎血流はTBF(C群:0.495±0.016,FOY群:0.411±0.014)でFOY群が良好であった。膵外分泌機能はAmylaseがC群vs FOY群が2890IU/Lvs1950IU/Lであった。末梢血単核球中のIL-1b/GAPDHはC群:0.353土0.045,FOY群:0.144±0.023、膵組織中のIL-1b/GAPDHはC群:0.476±0.009,FOY群:0.202±0.006であった。病理組織学的にはFOY群では、急性尿細管壊死、膵実質の炎症細胞浸潤が軽減されていた。 (結語)FOYは膵・腎同時移植モデルにおいて虚血・再潅流障害を抑制し、腎機能・膵機能を改善した。 以上の結果は日本移植学会、ASTSで発表し、現在、英文論文として投稿中である。
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