研究課題
強力な抗原提示能を有する樹状細胞を用いた抗腫瘍免疫ワクチン療法は、今後、難治性癌の治療、予防に最も期待されている癌特異免疫療法の一つである。我々は自己腫瘍細胞の凍結・解凍による破砕物を樹状細胞にパルスし、さらに成熟化させた後患者に戻す方法で、九州大学倫理委員会の承諾後、本治療法を実際の臨床において開始している(業績2)。本研究の目的はin vitroにおいて自己腫瘍抗原で刺激した樹状細胞を誘導または輸注し、抗腫瘍免疫療法のための再生自己免疫組織を作成することである。再生免疫組織の作成は、患者末梢血由来単球や、進行癌患者においてリンパ節郭清等の目的で合併切除されたリンパ節、または脾臓の一部を主にin vitroで樹状細胞の分化誘導するためのサイトカイン(GM-CSFとIL-4)やその他の成長因子の存在下で低重力三次元培養装置の中で培養し機能を維持した抗腫瘍組織として再生し、作製する。まず患者末梢血単球をGM-CSF/IL-4にて刺激し、未熟樹状細胞を作成し、これをコラーゲンゲル中で三次元培養する基礎実験系では、三次元環境下で樹状細胞が癌細胞を貪食し、IL-12やIFN-γなどのサイトカインを産生することを見いだし、現在投稿中である。また三次元中で樹状細胞がリンパ球と密なコンタクトをする点も倒立顕微鏡下で確認することができた。この三次元培養系については業績1で発表ずみであるが、実際のリンパ節を低重力培養にてサイトカインとともに培養することにより、リンパ球や樹状細胞の生存率が増加することも現在までの実験にて確認されているが、その具体的条件については今後の解析が必要である。
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