好中球、単球系に発現するチロシンキナーゼ型のレセプターのDDR1(Discoidin Domain Receptor)機能解析とシグナル伝達系路の解析を行っている。 (1)MCF-7におけるDDR1発現を遺伝子的に調節する目的で、DDR1の機能欠如型の遺伝子を作成し、プラスミドでクローニングすることに成功した。retrovirusを用いてdominant negative(truncated kinasedomain)を感染させ、G418にて選択し細胞クローンを確保する予定であった。しかし、感染力価が低いためか、選択培地では死滅してしまい、G418濃度を下げて選択したMCF-7のコロニーからは予想したdominant negativeDDRIを発現する乳癌細胞は認められなかった。 (2)このため、方法を換え、転写レベルでの発現阻害法として近年特に注目されている二本鎖RNAを用いたRNA干渉(RNA interference=RNAi)法を導入した。RNA干渉のためにDDR1対するsmall interference RNA(siRNA)として59merの鎖長の配列を決定し、これをplasmidでクローニングし、目的のretro-virusに組み込む予定とした。しかし、もともとのprimerが少なくmockが大量にできてしまい、予想以上に時間がかかった。現在retrovirusでの感染とsiRNAによるDDRIの発現抑制を確認しているところであり、引き続きDDR1刺激に際する細胞内シグナル伝達系路の解析中である。
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