研究概要 |
1型糖尿病に対する膵島移植では、移植膵島は拒絶反応に加え自己免疫による強い傷害を受ける。従って、自己免疫反応の克服は膵島移植における重要な課題である。本研究では単離した膵島をアガロースマイクロカプセルに封入することにより、自己免疫による障害を受けないバイオ人工膵を作成し、移植実験によりその成果を確認することを目的とした。 1)NODマウスからのラ島単離法:8〜10週齢の雄性NODマウスに対し、1.5mg/dlのcollagenase 2.5mlを膵管内に注入し、37℃,12分間消化することにより膵島を単離した。単離後Dextran非連続密度勾配遠心法にて膵島を純化した。 2)アガロースマイクロカプセル化ラ島の作成:38℃の5%アガロース溶液3ml中に、単離した膵島を拡散させた後、流動パラフィンを混和した。振動を加えた状態で急速に冷却し、アガロースをゲル化させることによって、マイクロカプセル化膵島を作成した。 顕微鏡下に観察すると、マイクロカプセル内に封入された径約250μm前後のラ島が確認された。ハンドピックアップにより収量を検討すると、1マウスあたり約100個のマイクロカプセル化膵島を回収できた。現在、糖尿病マウスへの移植実験を開始し、その効果を検討中であるが、1500〜2000個のマイクロカプセル化膵島により移植後速やかな血糖の低下を認めている。
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