昨年度からの研究により、NODマウスからラ島を分離し、1500〜2000個のマイクロカプセル化ラ島を作成することに成功した。本年度はNODマウスを用いた同系移植モデルでの自己免疫糖尿病再発防禦効果について検討した。 【方法】NODマウスから分離したマイクロカプセル化ラ島および裸(非マイクロカプセル化)のラ島を、糖尿病NODマウスに移植した。裸のラ島移植群:10例、マイクロカプセル化ラ島移植群:12例とした。 【結果】裸のラ島移植群では、移植後一旦は血糖値が正常化したが、全例20日以内に自己免疫による糖尿病が再発した。一方、マイクロカプセル化ラ島移植群では、移植後長期間正常血糖が持続し、12例中9例は100日以上正常血糖が維持された。両群間のgraft survivalには統計学的有意差を認めた(Logrank test;p<0.0001)。 【結論】今回の研究により、自己免疫による膵島傷害を受けないバイオ人工膵の作成に成功した。今後臨床応用に向け、拒絶反応と自己免疫反応の双方の影響を回避し得る、より厳しい条件下でのバイオ人工膵の機能評価が必要と考えられる。
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