研究概要 |
SPF環境下で飼育した6週齢のBALB/cマウスにマウスサイトメガロウイルス(MCMV)を0.2LD50のウイルス価で腹腔内感染させ、感染2週、1,3、6、9、12ヶ月後に肺を摘出し、ウイルス価(リアルタイムPCR法にて測定)及びMCMVのIE(Immediate Early)抗原に対する特異的T細胞の割合(MHC/抗原テトロラマーにて測定)を調べ、以下の結果を得た。 1.ウイルス価は感染2週目にピークに達し、それ以降急激に減少し、感染3ヶ月後には殆ど検出出来なかった。従って、感染3ヶ月以降はCMVは潜伏感染の状態にあるものと考えた。 2.感染1,3、6、12ヶ月のMCMV特異的CTLの割合(平均;n=5)はそれぞれ、3.6、5.6、10、8、9.6%であり、ウイルス潜伏後も長期に渡りMCMV特異的CTLが維持されていることがわかった。また、このCTLは非リンパ組織(肺)に局在し、CD69(活性化マーカー)陽性、IFN-γ産生のCD8であることから、MCMV特異的Effector Memory T細胞であると考えた。このMCMV特異的Effector Memory T細胞によりMCMVの再活性化は抑制されており、抗CD3抗体等により宿主のT細胞が除去されるとCMVの再活性化が起こるものと考えられる。 3.無菌環境下で飼育したマウスにおいては、このようなMCMV特異的Effector Memoly T細胞は検出できなかった。従って、常在細菌由来の因子(細菌のLPSやCpGモチーフなど)がMCMV特異的Effector Memory T細胞の維持に関与しているものと考えた。従って、骨髄移植等の前処置としての腸内除菌により宿主体内にもともと存在しているCMV特異的Effector Memory T細胞が消失することが示唆された。
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