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線維芽細胞増殖因子(bFGF)は血管新生因子として注目され、虚血性心疾患や阻血下肢の外科治療が不可能な部位の血行再建に期待された。ところが臨床では期待されるほどの成果はでていない。血管新生あるいは組織再構築には『細胞、細胞外マトリックス、増殖因子』の組み合わせが重要である。虚血心筋では代謝は良好に行われておらず細胞は生存しにくく、増殖因子は十分な働きをすることができない。本研究では細胞外環境を整えるのを目的に細胞親和性が良好な線維状アテロコラーゲンを足場として用い、血管芽の形成から動静脈に分化し、成熟血管になるまでの過程を観察し、また血管新生の速度を測定することにより至適条件を求めた。現在リコンビナントbFGFは褥創治療薬として市販されていて、形成外科領域では良好な創傷治癒が観察されている。我々はリコンビナントbFGFを局所1回投与することにより効果持続時間を評価したところ使用後1週間は対照とした生理食塩水に比べて促進した血管新生伸展速度を得た。ところが、血管新生速度を促進した足場とリコンビナントbFGFの組み合わせではこれ以上促進することができず、選択した足場にしても、リコンビナントbFGFにしてもこれが至適血管新生条件であったことが明らかになった。創傷治癒に伴った血管新生は線維芽細胞の伸展に伴って起こるが、観察窓の中では組織液が順調に拍動しており、代謝が順調に起こっていることが示唆されている。
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