研究課題/領域番号 |
14571165
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
米倉 竹夫 近畿大学, 医学部附属病院, 助教授 (00258021)
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研究分担者 |
小角 卓也 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (90340827)
八木 誠 近畿大学, 医学部, 助教授 (20191091)
大柳 治正 近畿大学, 医学部, 教授 (00030958)
東野 英明 近畿大学, 医学部, 教授 (40122098)
野瀬 恵介 近畿大学, 医学部, 講師 (20268395)
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キーワード | 虚血再灌流障害 / poly(ADP-ribose)polymerase / 3-aminobenzamide / ATP / DNA障害 |
研究概要 |
(目的)虚血再灌流時には局所のみならず遠隔臓器も障害される。ラジカルの関与が推測され、DNAを障害する。その修復のためにpoly(ADP-ribose)synthetase(以下PARS)が活性化されるが、その際細胞内ATPが枯渇する可能性が考えられている。われわれはPARSの阻害剤である3-aminobenzamide(以下3AB)が肝部分虚血再灌流による肝障害を軽減することを報告してきた。今回小腸虚血再灌流モデルを用い、遠隔臓器である肝への陣害とPARSの関与について検討した。 (方法)Wistar系ラット8〜10週齢を用い、SMAクランプによる小腸虚血再灌流モデルを作成した。3ABの投与を行った群を3AB群、生食のみを投与した群をcontrol群、腸間膜の剥離のみを行い虚血を行わなかった群をsham群とした。まず30分虚血後、60分再灌流し生存率を比較した。ついで30虚血、30分再灌流を行い、各群における肝および腸管におけるATP値、組織血流量、HE・PARS・TUNEL・8-OHdG染色による組織学的検討を行った。 (結果)生存率はcontrol群に比べ3AB群は有意に高かった。肝、腸管のATP値ではcontrol群と3AB群はsham群に比べ低値を示したが、3AB群はcontrol群より高値を示した。再灌流後の腸管の血流量は3AB群がcontrol群に回復し両群間で差がみられた。また小腸粘膜の障害も3AB群が軽度であった。しかし肝組織と残存した小腸粘膜ではPARS・TUNEL・8-OHdG染色では組織学的に差はなかった。 (まとめ)3ABの投与により小腸における組織血流量の改善や、小腸だけでなく肝でもATP値が改善されたことは、局所のみならず遠隔臓器の細胞障害も軽減していることを示し、虚血再灌流障害における遠隔臓器の細胞障害にもPARSが関与する可能性が考えられた。
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