研究課題/領域番号 |
14571169
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研究機関 | (財)田附興風会 |
研究代表者 |
徳原 孝洋 財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 研究員 (80343755)
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研究分担者 |
服部 登 財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 研究員 (00283169)
三宅 正幸 財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 部長 (90250076)
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キーワード | 血管新生 / APN / CD13 / NEP / CD10 |
研究概要 |
我々はこれまで、血管新生という視点からこれを抑制するモノクローナル抗体MH8-11を作製し、抗体クローニングから、これがaminopeptidase N(APN)/CD13を認識していることを明らかにした。これまで我々はマウスメラノーマの低肺転移株にこのAPN遺伝子をトランスフェクションすることにより、高転移株に変化することを証明し、転移能に関与していることを明らかにしてきた。この作用機序の一つとしてAPNが血管内皮細胞由来のIL-8のN末端を分解することにより、IL8由来の腫瘍細胞のapoptosisが阻害されること、また、もう一つの直接原因としてはAPN自身のマトリックスメタロプロテアーゼとしての機能の二つが考えられた。これらのことから、実際の肺癌、大腸癌、膵癌の手術標本を用いて、APNと血管新生の関係を検討したところ、APNの発現は血管新生をもたらしておりかつ予後不良因子になることが判明した。一方、neutral endopeptidase(NEP)/CD10は、APNとともに、活性中心に亜鉛をもつ膜結合性メタロプロテアーゼに属し、相互的に作用していることが知られている。NEPもAPNと同様に血管新生および癌転移に関与し、癌転移においても相互的に作用している可能性があるのではないかと考えられた。しかしながらNEPについては、肺癌の手術標本を用いて検討してみたところ、APNと異なりNEPの発現が予後良好となる傾向が見られた。これらの現象は白血病の予後因子としてのこれら二者の関係と一致しており、今後、APNとNEPのバランス及びインバランスによる癌の進展機構を明らかにしていきたい。現在分子標的療法としての抗体療法を考え、MH8-11自身を用いて抗体療法をすることにより増殖抑制および転移抑制ができるか、検討中である。また、NEP自身に腫瘍増殖抑制能があるかどうかも検討中である。現在、ポリエチレンイミン(PEI)の吸入によるAPNアンチセンストランスフェクションモデルも検討しており、これによるAPNの制御も行って行きたい。
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