研究概要 |
【研究目的】胸部食堂癌患者おいて,センチネルリンパ節理論は未だcontroversialである.当科で開発した磁性体を用いた新センチネルリンパ節診断法にて,この理論の適用の可能性を検討した. 【研究1】胸部食道癌手術患者に内視鏡下に25G食道静脈瘤硬化療法用穿束針を用いて,MRI用肝臓造影剤フェルモキシデス注射液(以下磁性体)を腫瘍周囲の粘膜下層に注入し,その後頸胸部のMRIを撮影しリンパ節が造影されるか否かを検討したところ,75%の症例で磁性体による効果が認められたリンパ節が描出され,磁性体を用いたMRI lympathic mappingが可能であることが明らかとなった. 【研究2】上記と同様に術前に腫瘍周囲の粘膜下層に磁性体注入し,当科で開発した簡易型高感度磁力測定器を用いて郭清した全リンパ節の磁力をex vivoにて測定した.転移陽性リンパ節と磁力との関係からcut off値を設定し,センチネルリンパ節の分布を検討した.その結果,センチネルリンパ節は1例あたり平均9.3個(1〜27個)であった.センチネルリンパ節は,病変部位にかかわらず頸胸腹に広範に分布することが多く,一定の傾向は認めなかった. 【まとめ】以上の研究により磁性体を用いたlymphatic mappingが可能であることが明らかとなったが,本法においてはセンチネルリンパ節が広範に分布することが多く,本法を扁いたセンチネルリンパ節理論による縮小手術は現状では難しいと考えられた.今後はRI法との比較を行い両者の優位性を検討する予定である.
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