研究課題
yeast two-hybridを用いhTidをbaitとして単離した新規遺伝子hRFIは食道癌で癌組織特異的に高発現しており、今回38胃癌、48大腸癌、77大腸ポリープ(70腺腫、7過形成性ポリープ)に対し抗hRFI抗体による免疫組織検査を行ない発現を調べた。その結果、hRFIは胃、大腸癌に特異的に高発現を示し、さらに大腸では過形成性ポリープ7例中3例(71.4%)で無染色であったが、大腸腺腫・癌では118例中8例(7.8%)が無染色であった(P<0.001).。大腸腺腫70例中、瀰漫性染色4例、非瀰漫性染色66例に対し、大腸癌48例中、瀰漫性染色39例、非瀰漫性染色9例であった(P<0.001)。また早期の腺腫段階で限局性ながら発現が見られ、異型がすすむにつれ発現が瀰漫性になることが明らかになった。胃癌では、瀰漫性の発現を認めた22例中15例(68.2%)、限局性の発現を認めた16例中5例(31.3%)で脈管侵襲を認め、その相違は統計学的に有意であった(p<0.05)。hRFIは食道癌のみならず胃、大腸癌においても高発現を示し、hRFI蛋白が癌遺伝子のような機能を有する可能性がある。胃においては、癌の発生の他に生物学的悪性度の獲得過程のステップでhRFI遺伝子の発現が関与する可能性がある。しかしhRFIの全長をトランスフェクションしたNIH3T3細胞によりコロニーフォーメーションのアッセイを行なったが、明らかなコロニー形成はみられなかった。
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