研究概要 |
我々は細胞周期のM期における中心体の働きに関与する分子に注目してきた。重要な分子と考えられているAurora family, PLK familyが癌細胞で発現異常の有無を検討してきた。 1.PLK 免疫染色にて正常粘膜のcrypt cellにのみ弱い発現を認めた。大腸癌症例の73.1%に高発現を認めた。 PLK1の発現は深達度、リンパ節転移、Dukes分類と強い相関を認めた。PLK1の異常高発現を示す症例はStageがすすんでいた。他の性別、年齢、分化度、腫瘍占拠部位と発現との関連は認めなかった。P53の異常はPLK1の高発現と有意に相関を示した。PLK1高発現群には増殖マーカーであるPCNA-LIは有意に高かった。PLK1遺伝子はmRNAレベルで別症例にて65.3%に高発現を認め、PLK3は22.2%に高発現を認めた。PLK1遺伝子発現と,PLK3遺伝子発現との間には有意な関連を示した。 2.Aurora 免疫染色にて大腸癌の67.9%にAurora A(HsAIRK1)高発現を認め、大腸腺腫症の30.6%に正常粘膜より高発現を認めた。正常大腸粘膜、大腸腺腫、大腸癌の順でHsAIRK1(Aurora A)の蛋白レベルでの高発現を示した。Aurora Cについては大腸癌症例の51.3%に高発現を認め、大腸腺腫症例の19.4%に高発現を認めた。HsAIRK3(Aurora C)の蛋白レベルにおいても正常大腸粘膜、大腸腺腫、大腸癌の順で高発現を示した。Aurora AはmRNAレベルで74.3%に高発現を認め、蛋白レベルの発現同様高発現を示した。Aurora Cは22.9%にのみ高発現を認め、蛋白レベルでは51.3%に高発現を認めたことと比較すると違いを認めた。Aurora Bは58.6%に高発現を認めた。P53の異常はAurora Aの高発現と有意に相関を示した。
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