研究課題/領域番号 |
14571191
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 久實 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60184321)
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研究分担者 |
勝野 伸介 名古屋大学, 医学部付属病院, 医員
原田 徹 名古屋大学, 医学部付属病院, 講師 (90345893)
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キーワード | 先天性胆道拡張症 / 胆管 / 膵胆管合流異常 / 神経叢 |
研究概要 |
【目的】先天性胆道拡張症(以下本症)の胆道壁における神経線維を立体的に観察することにより、神経発達の面から本症の胆管拡張の原因を明らかにする。 【方法】手術的に採取した本症の拡張胆管ならびに胆嚢を生食水に1晩浸食し、その後ザンボニ液で数日間固定、実体顕微鏡下において粘膜、粘膜下組織、線維筋層を順次剥離して、外膜の表面近くに認められる神経叢のwhole-mount標本を作成する。これを0.3%Tritonx-PBSに2〜3日間浸漬した後、一次抗体として神経の汎用マーカーである抗PGP9.5抗体に6〜7日間浸漬し、Streptoavidin-biotin peroxidase法による免疫組織染色を施行する。このようにして作製したwhole-mount標本において、神経叢の網状構造と神経節の分布、ならびに神経節間を結ぶ一次線維を顕微鏡下に観察し、デジタルカメラPP50-MACDに取り込みその数と大きさを検討。また、胆道糸に異常のない胆管を対照とした。 【結果】本症の胆管は正常胆管に比較し神経細胞数が有意に少なく、神経のネットワークは粗であり、神経細胞の集団からなる神経節の存在がまばらでその大きさも非常に小さかった。胆嚢においては、神経叢の網状構造や神経節の発達程度には大きな差は見られなかったが、神経繊維が分岐する位置に存在する神経節細胞が正常胆嚢に比して少なかった。他方、胆嚢においては、神経叢の網状構造や神経節の発達程度には大きな差は見られなかった。 【考察】神経細胞や神経節が少ないために胆管の蠕動運動が正常に機能できず、その結果胆汁の欝滞を来して胆管の拡張を来すと考えられる。
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