研究課題/領域番号 |
14571191
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 久實 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60184321)
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研究分担者 |
小倉 行雄 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員
落合 恵子 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員
金子 健一朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90335042)
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キーワード | 先天性胆道拡張症 / 膵胆管合流異常 / 総胆管 / 神経叢 |
研究概要 |
【目的】先天性胆道拡張症(以下本症)は通常の閉塞性黄疸時のような胆管拡張では無く、特異な形態を持った拡張を来す。その原因を明らかにすることが本研究の目的である。 【方法】本症の拡張胆管ならびに胆嚢を手術的に採取し、これを直ちに生食水に浸食して1晩置く。次いで数日間ザンボニ液で固定した後、実体顕微鏡下で胆管、ならびに胆嚢の粘膜、粘膜下組織、線維筋層を順次剥離して、胆管ならびに胆嚢外膜の表面近くに認められる神経叢のwhole-mount標本を作成する。これを0.3%TritonX-PBSに2〜3日間浸潰した後、一次抗体として神経の汎用マーカーである抗PGP9.5抗体に6〜7日間浸漬し、Streptoavidin-biotin-peroxidase法による免疫組織染色を施行する。このようにして作製したwhole-mount標本において、神経叢の網状構造と神経節の分布、ならびに神経節間を結ぶ一次線維を顕微鏡下に観察してその数と大きさを検討する。対照は胆道系に異常のない小児の胆管を用いた。 【結果】本症の胆管は正常胆管に比較し神経細胞数が有意に少なく、神経のネットワークは粗であり、神経細胞の集団からなる神経節の存在がまばらでその大きさも非常に小さかった。これに対して胆嚢は神経叢の網状構造や神経節の発達程度は正常対照と比較して大きな差は見られなかったが、神経繊維が分岐する位置に存在する神経節細胞が少なかった。 【考察】神経細胞や神経節が少ないためにHirshsprungと同様に、胆管の蠕動運動が正常に機能できないことが考えられ、その結果、胆汁の欝滞を来して胆管の拡張を来すのではないかと考えられる。
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