研究課題/領域番号 |
14571194
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 義之 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40314330)
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研究分担者 |
安田 卓司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10324782)
矢野 雅彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70273646)
瀧口 修司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00301268)
門田 守人 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00127309)
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キーワード | 胃癌 / 腹膜播腫 / 腹腔鏡 / 腹腔洗浄液 / 遺伝子診断 / 微小転移 |
研究概要 |
進行胃癌の予後改善のためには、腹膜播種を制御することが重要である。このためには、治療前に、腹膜再発高危険群を予測すること、さらに、これらの症例に対して、適切な治療法を選択することが重要となる。我々が確立した腹腔洗浄液遺伝子診断法は根治手術後の腹膜再発を予測するということにおいて、感度85.7%、特異度84.1%であった。又、漿膜浸潤陽性で腹腔洗浄液遺伝子診断のみ陽性であった症例の62.5%が術後に腹膜再発をきたし、腹腔洗浄液遺伝子診断法は、細胞診陰性の根治例においても、腹膜再発予測因子となることを示した。術前staging laparoscopyを導入した進行胃癌28症例における、術前腹腔内化学療法前後の定量的遺伝子診断の推移が腹膜再発とよく相関することを示した。術前治療により、開腹手術時に遺伝子診断が陰性化した16例は1例を除いて全例生存、遺伝子診断が陰性化しなかった12例は、3例を除いて全例死亡した。よって、細胞診陰性でも、遺伝子診断陽性は、腹膜再発高危険群であり、術前にこれを確認し、治療法を選択する必要がある。我々は、術前腹腔内化学療法(MMC+CDDP)をこれまで46症例に施行し、その認容性良好なことを確認した。又、この治療により、CY0,PCR(+)16例中10例(63%)が開腹手術時にPCR(-)となっており、予後を改善できる有効な治療法と考えた。これらの事実に基づき、現在、漿膜浸潤が疑われる進行胃癌症例は、入院時に、病棟にて局麻下に腹腔ドレーンを挿入し、腹腔洗浄液を採取し、遺伝子診断陽性症例に対しては、そのまま、腹腔内化学療法を施行する治療方針で行っている(現在までに40例に施行)。腹腔洗浄液遺伝子診断は、進行胃癌治療方針決定の上で不可欠な診断法であり、遺伝子診断陽性症例に対しては術前腹腔内化学療法が有効である可能性が示唆された。
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