研究概要 |
今回、経口投与により消化管で加水分解されY-27632の3倍以上に活性化される新規ROCK/RHOkinase阻害剤Fasudil/hydroxyfasudilの肝線維化抑制効果について検討した。肝線維化モデルはラット20匹に1%Dimethyl nitrosamine(DMN)を週3回10mg/kg per dayを3週間腹腔内投与により作製した。3週間Fasdil 10mg/kg/day経口飲水した群(DMN+Fasudil群)と通常飲料水のみ飲水させた群(DMN群)とに分け、以下の項目について検討した。(1)肝障害への効果:血清AST、Total bilirubin値(T-bil)、Albumin値(Alb)、(2)肝線維化への効果:線維化率、Transforming growth factor-β1(TGF-β1)mRNAおよびCollargen mRNA発現量(real time RT-PCR法)、(3)星細胞活性化への抑制効果:星細胞の活性化の指標であるα-smooth muscle actin(α-SMA)の免疫染色法およびWestern blot法による発現量の解析.検討の結果3週目のDMN群とDMN+Fasudil群の平均血清ASTは126.5IU/L,51.1IU/L, T-Bilは2.1mg/dl,1.1mg/dl,:(p<0.01)Albは1.8mg/dl,2.1mg/dl:(p<0.05),肝線維化率は21.1%,8.5%(p<0.001)、とDMN+Fasudil群ではDMN群に対し肝障害および肝線維化において有意な軽減効果を認めた。一方、CollagenおよびTGFβ1のmRNAレベルにおいては、1週目より有意にDMN群に対しDMN+Fasudil群では発現量が低かった。また3週目のα-SMA染色ではDMN群に対しDMN+Fasudil群では有意に陽性細胞数が減少しており、Western Blot法においては1週目よりα-SMAの発現量はDMN群に対しDMN+Fasudil群では有意に抑制されていたFasudilの経口投与によりα-SMAの発現が1週目より有意に抑制されていることからFasudilは星細胞の活性化を抑制することで肝線維化を軽減する効果があることが分かった。今後、肝硬変の治療薬として有効である可能性がある。
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