研究課題/領域番号 |
14571206
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野口 伸一 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (60311841)
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研究分担者 |
生野 猛 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (30235717)
田口 智章 九州大学, 医学部附属病院, 助教授 (20197247)
水田 祥代 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30038856)
家入 里志 九州大学, 医学部附属病院, 医員
増本 幸二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20343329)
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キーワード | 消化管 / 平滑筋 / 収縮力 / 細胞内カルシウム濃度 / 細胞内情報伝達機構 / ニューロキニンA / Ca^<2+>感受性 / Ca^<2+>チャネル |
研究概要 |
消化管の中枢神経系と同程度存在するといわれる神経伝達物質による消化管平滑筋の収縮弛緩へと至る細胞内情報伝達経路についてはほとんど解明されていない。 消化管の収縮物質であるニューロキニンA(NKA)はtachykininに属する神経伝達物質の一つで、消化管において下部食道、回腸、結腸における収縮に関与していることが知られており、特に結腸ではGMCや強収縮をもたらすとの報告もあるが、カルシウム動態を含めた細胞内情報伝達機構についてはいまだ明らかにされていない。そこでNKAによる消化管平滑筋収縮のメカニズムをモルモット結腸紐平滑筋条片を用いて、[Ca^<2+>]i-張力の同時測定法により解析した。 現在までの解析結果は以下の通りである。 (1)NKA(100pM-10μM)はモルモット結腸紐において濃度依存性に収縮を引き起こし、最大反応は10μMで得られ、EC_<50>は8.41±1.29nMであった。最大収縮が得られる最小濃度は1μMであった。 (2)Ca^<2+>流入経路を調べる実験においては電位依存性Ca^<2+>チャネル阻害薬(Diltiazem 1μM)を前処置したところ、1μM NKAによる[Ca^<2+>]i上昇と発生張力は抑制された。 (3)NK_2レセプターアンタゴニスト(NK2-ra 1μM)により1μM NKAによる[Ca^<2+>]i上昇と発生張力は抑制された。 (4)1μM NKA投与において筋小胞体からのCa^<2+>遊離による[Ca^<2+>]iの上昇を認めた。 ここまでの結論としてはNKAはモルモット結腸紐平滑筋において[Ca^<2+>]i上昇を伴う濃度依存性の収縮を引き起こし、その収縮には主に電位依存性Ca^<2+>チャネルおよび受容体制御Ca^<2+>チャネルからのCa^<2+>の流入と、筋小胞体からのCa^<2+>遊離が関与し、さらに収縮装置のCa^<2+>感受性を上昇させ、収縮力の増強をもたらすことが示唆された。
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