研究課題/領域番号 |
14571210
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
調 憲 九州大学, 大学病院, 講師 (70264025)
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研究分担者 |
田中 真二 九州大学, 大学病院, 講師 (30253420)
島田 光生 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10216070)
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キーワード | 肝細胞癌 / 分化誘導 / spheroid / 転移関連遺伝子 |
研究概要 |
肝細胞癌における分化規定遺伝子の単離と分化誘導遺伝子治療への応用 【目的】肝細胞癌における分化規定遺伝子の同定・単離を行い、分化誘導遺伝子治療への応用について検討する。 【方法・結果】(1)HDACアンチセンスのtransfectantの作製と機能評価:HDAC阻害剤により分化誘導を惹起することを確認した後、ヒト肝細胞癌株へHDAC1アンチセンスヌクレオチドの導入を施行し、HDAC1発現の低下を認めた。さらにHDAC1アンチセンス導入により細胞増殖抑制を認め、単位細胞数当たりのアルブミン合成(分化誘導)が促進された。また、DNAマイクロアレイにより包括的遺伝子発現変化の解析を行い、再現性の検討中である。 (2)肝癌における転移関連遺伝子の同定:ヒト胆管細胞株から高転移株(肺、リンパ節、腹膜播種)を樹立した。親株を対照として、それぞれの転移株においてDMマイクロアレイを施行した結果、各転移株に共通して発現変化を認める群と、各転移株においてそれぞれ特徴的に変化を認める群とを同定した。さらに肺転移、腹膜播種において有意に低発現を示したWnt signal inhibitorのdickkopf-1は臨床検体での検討において、陽性例で腹膜播種が有意に少ないことが示され、転移における関連遺伝子として重要であると考えられた。さらに細胞遊走に関与するとされているfocal adhesion kinase(FAK)が、臨床検体においてその発現と肝細胞癌の脈管浸潤が有意に相関することが認められ、その下流に存在するGrb7をsiRNAを用い抑制することにより浸潤能を抑制することが出来た。 【まとめと予定】 HDAC阻害による分化誘導を認め、また肝癌における転移関連遺伝子の検索により腹膜播種、脈管浸潤への関連遺伝子の同定を行った。今後、transfectantの作製によりその機能解析を進めていく。
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