研究概要 |
1.caspase 3組換えadenovirusの作成 健常者白血球よりDNAを抽出し、最適なprimerをdesignしてPCRによりcaspase 3遺伝子を得た。この遺伝子を常法に従いshuttle vectorにligationし、これを大腸菌にtransformationしてcloningを行った。正常型caspase 3遺伝子であることをDNA sequencingで確認後、caspase 3の組換えadenovirusを作成した。 2.胃癌細胞株におけるcaspase 3蛋白の発現 KATO-III, MKN-28,MKN-45,MKN-72および当科で樹立した胃癌細胞株7株(OCUM-2Mを含む)におけるcaspase 3蛋白の発現をwestern blottingにより測定した。検討した胃癌細胞11株の中でKATO-IIIのcaspase 3蛋白発現が最小で、ほとんど発現していなかった。 3.遺伝子導入した胃癌細胞の抗癌剤併用による殺細胞効果 組換えadenovirusによりKATO-IIIにcaspase 3遺伝子導入を行ったところ(本細胞をKATO-III/cas 3と呼称)、24時間後にはcaspase 3蛋白が強発現していた。そこでKATO-IIIおよびKATO-III/cas 3に5-FUおよびcisplatin をそれぞれ1,10,100μg/mlの濃度で48時間作用させた。いずれの濃度でもKATO-IIIに比較して有意にKATO-III/cas 3に対する殺細胞効果が増強していた。これは胃癌細胞に対するcaspase 3遺伝子導入と抗癌剤との併用効果が期待される結果であると思われた。
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