研究概要 |
1.caspase-3組換えadenovirusの作成 cDNAソースより増幅したcaspase-3を用いて組換えプラスミドを作成し,コスミド構築後に293細胞にtransfectして組換えadenovirusを作成した。これを用いたnode mouseを用いる実験を準備していた。しかし,作成したadenovirusをtransfectした細胞に変性がみられず,caspase-3組換えadenovirusが得られていないと判断した。原因を探るためにcaspase-3発現カセットのコスミド連結をPCRにより確認したが,これには問題がなかった。しかし,このコスミドの濃度を高めて293細胞にtransfectしても,やはり細胞変性を起こさなかった。繰返し確認したが,目的とするcaspase-3組換えadenovirusは得られないと判断した。 2.HVJ-Eによるcaspase-3プラスミド導入の検討 以上の経過より,caspase-3プラスミドを遺伝子導入する手段としてヒトセンダイウィルス封入体(HVJ-E)を用いる検討を行った。HVJ-Eにcaspase-3プラスミドを封入した後,胃癌細胞株OCUM-2Mに対してcaspase-3プラスミド+HVJ-Eを導入した。無処理細胞およびcaspase-3封入細胞に対して5-FUの0.1,1,10μg/mlを添加した。これを48時間培養後,MTT法にて細胞抑制率を測定した。結果は無処理細胞とcaspase-3封入細胞の間で5-FUの殺細胞効果に有意差が見られなかった。以上の結果からはcaspase-3導入による殺細胞効果が期待されないのか,あるいはcaspase-3遺伝子導入法に問題があるものと考えられた。
|