研究概要 |
(1)細胞株による検討 我々の所有する数種類の大腸癌細胞株(WiDr,HT-29,HCT-15,Colo201,Colo205)を用いて,これら細胞株の3,4-(5-methylthiazolyl-2-yl)tetrazolium bromide(MTT)アッセイの結果とDNAマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルの結果を比較した。この結果,cisplatin (CDDP)および5-Fluorouracil(5-FU)に対する耐性候補遺伝子としてcyclooxygenase(COX)-2が抽出された。 (2)RT-PCRによる検討 上記によって抽出された抗癌剤耐性候補遺伝子COX-2 cDNAプラスミドをHT-29大腸癌細胞株より抽出し,電気穿孔法によりCOX-2 naiveなHCT-15株にtransfectした。transfectant(TR-5)の培養上清にはCOX-2の産生するprostagrandin E2が確認され,細胞にはCOX-2 mRNAとCOX-2蛋白の発現が認められた。MTTアッセイを用いた検討では,COX-2を導入されたtransfectant(TR-5)は親株に比して5-FUおよびCDDPに対する耐性を獲得していた。affymetrix社製oligonucleotide arrayを用い,transfectant(TR-5)および親株(HCT-15)の発現プロファイルを比較検討したところ,transfectantにおいてはmultidrug resistant protein-1(MRP),thymidylate synthetase(TS)のup-regulationが観察され,これらの遺伝子がCOX-2の下流で5-FU(TS)およびCDDP(MRP-1)に対する耐性発現に関与していることが示唆された。
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