研究概要 |
1.治癒切除された大腸癌症例116例を対象に,治癒切除手術7-10日後に末梢血を採取し,CEAmRNA発現と再発との関連性を検索した.追跡期間は中央値30ヵ月(5-41ヶ月)であった. 2.116例中27例(23%)が再発した.治癒手術後7-10日後,末梢血中にCEAmRNAの発現が認められたのは32例(28%)で,陽性率はstage I 18%,stage II 29%,stage III 39%でstageの進行とともに増加したが,stageと有意の関連性は認められなかった(p=0.17). 3.再発率はCEAmRNA陽性例で11/32(34%),陰性例で16/84(19%)であった(P=0.13).再発した27例の再発形式は,CEAmRNA陽性例では肝と局所が各々3例,リンパ節,骨が各々2例,CEAmRNA陰性例では局所6例,肝4例で有意の差は明らかでなかった. 4.Stage別の再発率はstage I 1/34(3%), stage II 11/49(22%), stage III 15/31(48%)でstageとの間に有意の関連性が認められた(p<0.0001). 5.従って,CEAmRNAの発現をtargetとして,治癒切除手術1週間後の末梢血中に不lくまれる癌細胞の検出には,手術中に採血した門脈血、末梢血中の癌細胞の検出結果に比較して,予後予測因子としての意義は高くないものと考えられた.
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