研究概要 |
1.Barrett食道癌に対する内視鏡的粘膜切除術の手技の確立 Barrett食道癌は、その境界が不明瞭であり、各種異形成の混在もあり、その同定が困難である。Barrett食道癌症例に対し、通常観察とクリスタルバイオレットによる色素法により観察を行い、異常部位について拡大内視鏡を行うことにより病巣範囲を確定し、明瞭なマーキングを行うことによ切除範囲を決定することが大切である。 現在までに当施設でのBarrett食道癌のEMR症例は2例である。今回集計した9施設でのBarrett食道癌95例中EMRを行った症例は27例であった。 2.治療戦略の設定 今回Barrett食道癌について食道癌の臨床病型を用いて検討してみたところ、深達度、病態、予後と良く相関した。深達度とリンパ節転移および予後についてみてみると癌が粘膜下層の中層より深く浸潤すると、急に悪性度が増すようである。表在癌では予後がむしろ良く、進行すると未分化型の癌が混在してきて急速に予後不良となる。 以上のことよりBarrett食道癌の治療方針として、Tlaの粘膜癌に対しては、Endoscopic Mucosal Resection (EMR),Photo dynamic therapy (PDT),Argon plasma coagulation (APC)を、Tlbを越えた進行癌に対しては、外科的手術が必要である。Barrett食道の長さ、癌の存在部位、癌の進行度により術式が異なり、SSBEのsm癌にはtrans hiatal distal esophago-cardiac resectionを、下部食道の進行癌には左開胸開腹連続切開によるアプローチを、long Barrett's には右開胸開腹連続切開、あるいは右開胸と開腹のseparateしたアプローチで頸胸腹部三領域リンパ節郭清のアプローチを行う。
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