研究概要 |
BALB/c mouse、背部皮下に1.2-dimetylhydazine(DMH)(30mg/kg群,50mg/kg群)を週1回注射し、誘発した遠位大腸癌の原発巣ないしは肝転移巣、腹膜播種巣をBALB/c nude mouseの背部皮下に移植し、4つの腫瘍株を樹立した。この腫瘍株を用いて同系mouseに対する大腸癌肺転移モデルとすべく、100個/mlから10000個/mlの腫瘍細胞密度に調整して同系mouseの尾静脈から0.1ml注入し10週後に屠殺して肺転移結節数を肺表面から数えたが、肺転移の形成が安定せず転移モデルとしてはまだ応用できていない。 腫瘍株をcolon26に変更し、注入細胞数を10個、20個、40個、80個として、屠殺時期も6週と12週の2回としてみると、注入細胞数が40個の際に12週目の肺転移数は0〜8(4.25±3.28)となり、同系腫瘍転移実験とし比較的安定していると考えた。腫瘍株をヒト大腸癌株HT-29とし動物をBALB/c nude mouseとした場合も注入細胞数は40個、屠殺時期を12週とした場合が比較的安定しており、ヒト大腸癌株腫瘍転移実験として以下の実験で使用した。 Cimetidineは飲水中混入での経口投与とし、飲水量の測定と混入濃度を調整して、推定投与量(mg/kg/day/mouse)が0,40,80,160とした。腫瘍注入の2日前から投与を開始し、屠殺日まで投与した。5FUは腫瘍注入後4週目から1週間連日腹腔内投与し、微小転移巣への治療効果を検討した。一回投与量(mg/kg/day/mouse)は0、50、100、500とした。 Cimetidineは、同系腫瘍転移系・ヒト大腸癌株転移系の何れにおいても80mg,160mg投与群で対照群と比較して、肺転移を抑制する傾向を示した。5FUによる微小転移巣に対する効果は明らかではなかった。Cimetidineは各投与量で投与し、5FUは100mg/kg/mouse単独量で併用効果を検討すると、同系腫瘍の転位抑制効果は一定の傾向を示した。
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