研究課題/領域番号 |
14571243
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
上山 泰男 関西医科大学, 医学部, 教授 (90127069)
|
研究分担者 |
海堀 昌樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (30333199)
權 雅憲 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70225605)
|
キーワード | FK506 / cyclosporin A / 低酸素障害 / ケトン体比 / Heat shock protein / ラット初代肝細胞培養 |
研究概要 |
【目的】肝移植や肝切除術において、肝虚血灌流傷害を軽減させることは極めて重要と考えられる。免疫抑制剤FK506、cyclosporin A(CsA)はその強力な免疫抑制に加えて最近様々な薬理作用を有していることが報告されている。今回我々はラット初代肝細胞培養に低酸素/再酸素化システムを導入し、FK506およびCsAの肝細胞におよぼす直接効果について比較検討した。 【方法】Wistar系ラットを用いSeglenの方法に従って肝細胞を単離・培養した。培養24時間後にFK506、CsAを添加し簡易低酸素化システム(アネロパック・セルシステム)2時間処理後、経時的に培養液中のketone body ratio(KBR)、肝細胞energy chargeを測定、またWestern blotにてheat shock protein (HSP) 70の発現を検討した。 【結果】低酸素化処置なしでの肝細胞培養では培養液中KBRは著しい低下を示したが、FK506添加群では有意な回復が認められた。肝細胞ATPは低酸素/再酸素化により低下を示したがFK506添加群ではその減少が有意に抑制された。またアネロパック処理1、2、4時間後に肝細胞HSP70の発現を検討したところ1時間より発現を認め、4時間において最も著名な発現を示した。FK506はこのHSP70の発現をさらに増強した。CsAは培養液中のKBRを増加せず、さらに肝細胞ATP、HSP70に対しても影響を与えなかった。 【結論】FK506は低酸素および再酸素化による肝ミトコンドリア機能の低下を抑制した。FK506のこの細胞保護作用にはHSP70誘導の関与の可能性が考えられた。
|