転移性肝腫瘍の(偽)被膜形成は、まず大腸癌肝転移に関して報告されたが、胃がん肝転移巣についても、切除後の予後に密接な関係があることが最近報告された。本年度は、大腸癌肝転移巣の遺伝子解析のための切除組織収集と並行して、当施設で切除治療をうけた胃癌肝転移例の切除成績について、retrospectiveな解析を行った。1985〜2001年までの4730例の胃切除症例の5.2%(228例:同時性転移106例、異時性転移122例)に肝転移がみられ、うち22例が肝切除を受けた。5年生存率は38.3%であり、5例の3年以上生存例を見出した。切除後の予後因子は、(1)多発転移巣(odds 比10.4)、(2)腫瘍径(5cm以上)(odds比4.8)であった。前述の知見もあるため、大腸癌以外の症例に関しても、肝切除組織の収集が必要と考えられた。
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