研究課題/領域番号 |
14571252
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 千顕 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80333813)
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研究分担者 |
星川 康 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90333814)
佐藤 雅美 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (30250830)
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キーワード | 肺癌 / センチネルリンパ節 / 赤外光観察 / ICG / ナビゲーション手術 |
研究概要 |
RIを用いたセンチネルリンパ節検出の試みが悪性黒色腫や乳癌において進展している。手法としてはRI標識されたコロイドを術前にRI検査室で投与する事になる。悪性黒色腫や乳癌の場合には腫瘍を触知しながら周囲に注射し、消化管腫瘍の場合には内視鏡直視下に腫瘍周囲に注射することになる。肺癌では、術前投与の場合はCTガイド下の局注が必要である、術中投与の場合には一般的な手術室ではRIの隔離上の問題が避けて通れない。日本ではRI検査室内にCTや手術室を備えた施設は少ない。このように肺癌ではRIの術前・術中投与の困難さからセンチネルリンパ節概念の検証が十分になされていない。腹腔内リンパ節などには色素や墨汁を用いた染色でリンパ節同定が可能であるが、胸腔内リンパ節の多くは粉塵を含んでいるため黒色を呈し、これらの染色をそのまま視認することはきわめて困難である。今回我々は赤外内視鏡システムを用いてnon-RI navigation surgeryへの応用が可能か検討した。肝機能検査薬のICGをトレーサーとして用いた。その吸収波長に一致した805nmの波長の赤外線は組織透過性良好で3mm程度の深達性を持つとされている。術中肺癌周囲にICGを局注し、その後通常の肺葉切除と系統的リンパ節郭清を施行した。摘出リンパ節をこの赤外内視鏡システムを用いて観察した。これまで5症例に施行したが、全症例において複数の摘出リンパ節にICGが観察された。この結果から、ICGがトレーサーとして、有望であることが判明したが、その分子量に起因すると考えられるが、リンパ節内への停滞量が少なく、多くが流出していた。これにより、本来のセンチネルリンパ節を捕捉困難にしている可能性があるため、今後は、症例数の追加とともに、観察時間の変更、生理食塩水以外の溶液の試用を予定している。
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