研究課題/領域番号 |
14571257
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
尾辻 瑞人 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (50344982)
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研究分担者 |
安福 和弘 千葉大学, 医学部附属病院, 助手
篠塚 典弘 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80261907)
関根 康雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70312957)
藤澤 武彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80110328)
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キーワード | 肺保存 / 心停止後肺移植 / 部分液体換気 / 肺コンプライアンス / 気道抵抗 / 肺エラスタンス |
研究概要 |
【本研究の目的】基礎研究として日本雄性白色ウサギを用いて、心停止状態における部分液体換気の肺保護効果を観察したところ、虚血による肺傷害を抑えることが判明した(平成14年度研究)。そこで本年度はビーグル犬を用いて、部分液体換気にて保護された肺を移植することにより、移植後の肺機能がどこまで保護されているかを検討した。 【方法】10?12kgのビーグル犬を用いた。ペントバルビタールによる導入により気管チューブを挿管し、イソフルレンによる全身麻酔で維持管理した。100%02、TV400mlの分時換気回数20回の人工呼吸器(シナノ製作所SN-480-6)管理を施行。換気量、換気圧はトランスデューサーよりモニタリングを行い肺エラスタンスと気道抵抗を測定した。血圧は大腿動脈にてモニタリングした。灌流後の状態との比較評価を行うため、胸骨縦切開を行い両側開胸の状態で実験をおこなった。低血圧状態は瀉血にて収縮期圧40mmHg未満を1時間行い、その後心停止に至らせ心停止後も人工呼吸を継続し2時間後に灌流を行う実験モデルを作成し、ガス換気群(A群,n=3)、温阻血液体換気群(B群,n=2)の2群にて比較検討を行った。液体換気はperfluorocarbonを用い15ml/kgを注入し部分液体換気を施行した。この2群間で肺エラスタンス、組織中IL-8、血液ガス分析について測定し、組織評価を行った。解析はt検定にて行いp<0.05をもって有意差ありと判定した。 【結果】低血圧時の血液ガス分析では、2群間に有意差を認めなかった。気道抵抗はbaselineから心停止,心停止1時間と経過するに従い2群とも上昇傾向を示したが、両群間に有意差は認められなかった。心停止後2時間および保存液潅流後では心停止後1時間の時とあまり変化は見られなかった。一方、肺エラスタンスはB群がA群に比べて上昇する傾向を認めた。しかし有意差は現在のところ認められていない。組織所見に関しては現在検討中である。また組織中のIL-8は両群においてbaselineに比し移植後にむしろ低下する傾向を認めた。しかし症例数も少なく、有意差も認めなかったため、結論を言えるまでには至っていない。 【考察】肺エラスタンスはウサギの実験とはやや逆の結果になっている傾向があったが、引き続き症例数を重ね、検討する必要があった。
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