研究分担者 |
関根 康雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70312957)
安福 和弘 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (60372356)
渋谷 潔 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20302565)
藤澤 武彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80110328)
山田 義人 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (80375691)
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研究概要 |
【目的】液体換気法による心停止後移植肺の保護効果についてはこれまでも報告してきたが,今回はビーグル犬を用いて、心停止後に肺移植を施行し、病理的肺障害スコアと気道抵抗・弾性の測定を行った。そして液体換気の肺保護効果を定量的に評価した。また気道抵抗および肺弾性が肺傷害の程度と相関して変動するかを調査し、肺傷害の定量化が行えるかということも重要な目的とした。【方法】ドナービーグル犬を通常換気群(GV群,n=6)と液体換気群(PLV群,n=5)に分け,1時間の低血圧と2時間の心停止の間,各々の方法でガス交換を維持した。液体換気群ではFluorinert FC-77 15ml/kgを気管内投与し、TV 400ml、PEEP 5cmH2O、RR 20/minにて人工呼吸を行った。通常換気群では、同様の人工呼吸管理のみ行った。次に通常換気下で左片肺移植を施行し、術後のガス交換・病理像を評価した。さらに経時的に移植肺組織を採取し、組織内IL-8濃度をELISA法を用いて定量化した。実験開始から、ドナー肺摘出までは、ドナー犬に対し、肺移植後はレシピエント犬に対して、気道抵抗・弾性測定装置を装着し、持続的に気道内圧・流速をモニタリングし、気道抵抗・弾性を算出した。【結果】移植6時間後の病理評価ではGV群がより強く傷害された。気道抵抗・弾性は両群ではほぼ同じ変化を示した。しかし肺傷害の病理学的変化と気道弾性の間には有意な相関が認められた。すなわち、肺傷害の悪化に伴い、弾性値の上昇を認めた。IL-8の変化も量群間で有意差はみられなかった。【結語】病理的検討ではPLV群の方で肺傷害が抑制されていた可能性が示唆された。また気道抵抗,気道弾性の測定は肺障害の変化の評価に有用である可能性があった。すなわち、臨床肺移植に際し、酸素飽和度だけでなく、人工呼吸器に取り付けた気道内圧・流速測定により、肺傷害の経時的モニタリングと人工呼吸器設定の調整に有用な手法になりうると考えられた。
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