研究課題/領域番号 |
14571278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
堀之内 宏久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60173647)
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研究分担者 |
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051704)
渡辺 真純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90201227)
山本 学 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10317159)
木村 吉成 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80327535)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | Heparanase活性 / 肺転移 / プロテオグリカン / 間質組織 / 血管新生 |
研究概要 |
腫瘍の肺転移は血行性で起こると考えられている。腫瘍細胞が転移先(肺)で増殖する際に既存の構造を破壊していることが病理学的検討から明らかで、この際にはMMPが関与していることが示唆されている。われわれはMMPだけではなく、Heparanaseも発現することが腫瘍の転巣移形成に必要ではないかとの仮説のを立て研究を行った。使用したLY80は浮遊細胞系の腹水肝癌である。転移の研究をする場合、免疫不全マウスやSCIDラットを使用すると腫瘍の間質および腫瘍循環はAllogenicな間質および血管から構成されるため、転移巣形成の正確な評価ができないことが考えられたためこのSyngenicな腫瘍系列を選択した。LY80は肝には親和性があり、吹く水中で増殖する場合、腫瘍細胞が単独で浮遊している状況である。この状態で静脈内投与を行っても肺転移を起こしにくいことが明らかとなった。腫瘍細胞を皮下に注入し固形腫瘍を作った後に静脈注入したところ肺転移を比較的効率よくつくることができるようになった。この系では腫瘍の肺転移には肺循環の末梢部位にSequestrateするだけでなく、間質を伴う腫瘍細胞塊が必要であることを示したものと考えられた。腫瘍細胞が肺に親和性を持つ場合、遊離細胞とした腫瘍細胞分散液で肺転移を構成できるか否かを調べる必要があると考えられた。 間質への進展と腫瘍の増生の点で、肺転移時にLY80を用いた肺転移巣の形成過程にHeparanase活性が変化しているかについて検討した。腫瘍細胞投与14-16日後に肺を摘出、転移巣を切除し、凍結保存、Haparan Degrading Eazyme Assay Kitを用いて転移組織内Heparanase活性を測定した。その結果、直径3mm以下の転移巣ではHeparanase活性は正常肺よりも高い値を取り、転移形成初期の最階でHeparanaseが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 また、蛍光遺伝子の導入を試みたが、恒常的に蛍光を発する腫瘍細胞を作成することが困難であった。恒常的に導入した腫瘍細胞を得て肺転移におけるHeparinase活性の変化を明らかにすること、Heparan sulphate proteo-glycan(HSPG)の分解の程度を検討することが次なる課題であると考えられた。
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