研究課題/領域番号 |
14571282
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
加藤 治文 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074768)
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研究分担者 |
筒井 英光 東京医科大学, 医学部, 助手 (50328233)
原田 匡彦 東京医科大学, 医学部, 助手 (60328242)
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キーワード | 肺癌 / センチネルリンパ節 / ラジオアイソトープ / 蛍光診断 |
研究概要 |
【研究目的】冷却型CCDカメラやイメージインテンシファイアーを採用した超高感度蛍光診断装置を改良し、新たなるsentinel node同定法(蛍光法)を確立することを目的とした。 【材料および方法】5週齢の雄性マウスの足背皮下にMeth-A(fibrosarcoma)細胞5x10^5個を皮下投与しfood pad担癌マウスを作成し、7、14、21日後に光感受性物質ATX-S10(Na)を腫瘍周囲に局所注入する。投与後、10分、20分、1時間の各点においてマクロ蛍光診断装置を用いて腫瘍周囲に存在するリンパ管およびリンパ節に取り込まれた光感受性物質の蛍光を観察し、リンパ流の走行を確認すると共に、腫瘍から最初にリンパ流を受けるセンチネルリンパ節の同定を行う。【結果】腫瘍周辺部にATX-S10(Na)を皮下投与すると、速やかにリンパ管に取り込まれ、リンパ流を介してセンチネルリンパ節である膝窩リンパ節に集積後、そのリンパ節よりさらに中枢側へのリンパ管内を流れていく様子が節察できた。ATX-S10(Na)が集積した膝窩リンパ節、その周囲の脂肪組織、および鼠径リンパ節、腋窩リンパ節を摘出し、蛍光診断装置にて観察したところ、膝窩リンパ節のみが蛍光を発し、周囲の脂肪組織、その他のリンパ節では蛍光は認められなかった。さらに腹腔内のリンパ節を追加摘出し、蛍光診断装置にて観察を行ったところ、膝窩リンパ節から蛍光を発していたとともに腹腔内リンパ節からも同様に蛍光が観察された。摘出した各リンパ節の蛍光強度を定量化するためにR/G比を各々のリンパ節において算出を行ったところ各リンパ節のG成分はほとんど差が認められなかったが、R成分は蛍光を発しなかった鼠径リンパ節腋窩リンパ節に比して、蛍光を発した膝窩リンパ節、腹腔内リンパ節は有意に高値であった。 【考察】蛍光診断法は色素法と比較した場合、診断装置は必要となるものの、リンパ管の走行、リンパ節への取り込み状態の様子が非常に鮮明に、かつ直視下にて経時的に観察できるため、センチネルリンパ節の同定に非常に有用であると思われた。臨床応用が可能になれば、現在放射性医薬品を用いたRI法でみられる放射線被爆、法的規制の問題も解決でき、患者への身体的負担設備投資の軽減に大いに寄与できると考えられる。
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