研究課題/領域番号 |
14571292
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
杉尾 賢二 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70235927)
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研究分担者 |
竹之山 光広 産業医科大学, 医学部, 助手 (10309966)
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 助手 (30299614)
矢野 公一 産業医科大学, 医学部, 講師 (80258615)
山下 智弘 産業医科大学, 医学部, 助手 (30341530)
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キーワード | 肺癌 / 微小転移 / サイトケラチン / リンパ節 / 骨髄 / cadherin / catenin / VEGF-C |
研究概要 |
微小転移の検出と臨床的意義 第I期肺癌におけるリンパ節のサイトケラチンによる微小転移の検出を行ない、陽性症例の予後は、有意に不良であることを示し、これを報告した(Osaki, et al. J Clin Oncol)。この研究に基づき、多施設共同研究による前向き試験を行なった。全国15施設から351例の非小細胞肺癌患者より骨髄液を採取し、抗サイトケラチン(CK)抗体(CK2)にて免疫化学的に染色し、112例(31.9%)が陽性であった。CK陽性例は予後不良の傾向があり(p=0.076)、第II〜IIIA期では有意に予後不良であった(P=0.047%)。また、第I期症例216例のリンパ節を抗CK抗体(AE1/AE3)にて染色し、34例(15.7%)にCK陽性細胞を認め、その症例の予後は、有意に不良であった(P=0.004)。したがって、サイトケラチンを指標とした微小転移の検出において、第I期ではリンパ節の微小転移が、第II〜IIIA期では、骨髄の微小転移が有意な予後因子と考えられた。 分子生物学的因子と微小転移との関連 血管新生因子であるVEGFとVEGF-Cの原発腫瘍での発現を免疫組織化学的に検討した結果、VEGF発現は42%に認められ、T因子との相関を認めた。一方、VEGF-C発現は70%に認め、種々の因子との相関は認められなかったものの、有意な予後因子(P=0.001)であった。 細胞接着因子であるE-cadherinとβ-cateninの原発腫瘍での発現と転移との関連を非小細胞肺癌患者58例について検討した。E-cadherinの発現低下は27.6%に認められ、β-catenin発現低下は37.9%認められた。このE-cadherinとβ-cateninの発現が原発腫瘍で低下している症例とサイトケラチンを指標とした骨髄中の微小転移とには有意な相関(P=0.0392)が認められ、これらの因子は微小転移を推定する上で有用な因子である。
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