研究課題/領域番号 |
14571298
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
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研究分担者 |
高野 晋吾 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50292553)
安西 和紀 放射線医学総合研究所, レッドクス制御研究グループ, グループリーダー (70128643)
安藤 興一 放射線医学総合研究所, 粒子線治療生物研究グループ, グループリーダー (00159526)
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キーワード | ラジカル / 高LET / エダラボン / 8-OHdG |
研究概要 |
本研究では、高LET重粒子線におけるラジカル反応を解析し、腫瘍周辺に生じるラジカルを消去することで放射線傷害を防いで、腫瘍を重粒子線の直接作用にて効率良く治療することを目的としている。今年度においては、まず、エックス線と炭素線を用いてLETの異なる複数の点で、水溶液中に生じるヒドオキシルラジカル(・OH)をElectron Spin Resonance (ESR)を用いて定量化した。さらに、DNA照射後の酸化産物である8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG)を定量化するとともに、ラジカル消去剤3-methy-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one(エダラボン)によるラジカル消去効果を検討した。 まず、水溶液中に生じるヒドロキシルラジカル(・OH)の産生量は、照射線量依存性に増加するとともに、LETが上昇するにつれて減少することを明らかにした。LETが20keV/micronの炭素線はエックス線の約80%の・OHを産生し、LET 100keV/micronでは60%まで低下することが明らかになった。 次に、鮭精子DNAを1mg/mlの濃度に溶解し、各種放射線照射後にDNAの酸化産物である8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG)をHPLCにて定量化した。その結果、まず、エックス線照射後に生じる8-OHdGの量は、10Gyまでは線量依存性に増加することが明かになった。また、炭素線照射後にも8-OHdGのレベルは上昇したが、LETが高くなるとその量は次第に減少しLETが80keV/μmではエックス線の約40%であった。さらに、エダラボンを加えると8-OHdGの産生量は抑制され、その抑制効果はエダラボンの濃度に依存していた。また、10μMダラボンの8-OHdG産生抑制効果は、エックス線照射後に最も高く、LETが上昇するにつれて減少した。
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