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2002 年度 実績報告書

低酸素反応性・可溶性VEGFレセプターを用いた悪性グリオーマの抗血管新生療法

研究課題

研究課題/領域番号 14571299
研究機関筑波大学

研究代表者

高野 晋吾  筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50292553)

研究分担者 安部井 誠人  筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20261802)
三井 洋司  産業技術総合研究所, 分子細胞工学研究部門, 総括研究員
曾根 博仁  筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30312846)
坪井 康次  筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
キーワードグリオーマ / VEGF / 可溶性VEGFレセプター / hypoxia inducible factor / 血管新生 / 分子標的治療
研究概要

VEGFレセプターであるFlt-1の細胞外領域部分は可溶性の形で生体内に存在し(sFlt-1)、内因性VEGF抑制因子として機能すると考えられている。VEGF特異性から悪性グリオーマに対する抗血管新生療法の標的分子となりうる。今回はグリオーマ組織におけるsFlt-1の役割を検討した。対象は52例のグリオーマ(GBM 24,AA 13,LGA 10,pilocytic 5)のパラフィン切片、凍結組織を用いた。凍結腫瘍組織のホモジネートでVEGFおよびsFlt-1の蛋白濃度をELISAで測定した。パラフィン切片ではMIB-1陽性率、CD34染色で腫瘍血管密度を形態計測し、VEGFおよびFlt-1染色でその分布を評価した。
結果。sFlt-1蛋白濃度はGBM 848.5±900.2,AA 465.4±232.5,LGA 410.3±207.2,Pilocytic 317.7±137.1 pg/mg proteinでGBMのばらつきが強く病理組織間での有意な差はみられなかった。しかし、VEGF/sFlt-1の蛋白濃度の比が1以上のグリオーマは1未満のものに比べて有意に(p<0.0001)生存率が低かった。悪性グリオーマ37例だけに限っても同様で、比が1以上の悪性グリオーマの平均生存期間は11ヶ月であるのに対し、1未満のものは29ヶ月で生存率に有意な(p<0.0001)違いがみられた。sFlt-1蛋白濃度は血管密度(r=0.427,p=0.0014)、腫瘍MIB-1値(r=0.349,p=0.0108)、VEGF蛋白濃度(r=0.304,P=0.0278)と有意な相関がみられた。Flt-1蛋白はグリオーマ組織の血管壁・腫瘍細胞に陽性であった。
結論。sFlt-1はグリオーマ組織の血管密度に関係し、VEGF/sFlt-1濃度の比率が1未満でグリォーマの生存率は有意に高く、内因性血管新生抑制因子として機能している。また、sFlt-1は悪性グリオーマの分子標的となりうると考えられた。
以上の結果に基づき1.sFlt-1 plasmidのグリオーマ細胞(U87)への遺伝子導入実験、2.低酸素反応のトリガーとなるhypoxia inducible factor(HIF-1α、HIF-2α)の発現を同一組織で検討中で、低酸素反応性のsFLT-1の遺伝子導入実験への準備を行なっている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 高野晋吾, 曾根博仁, 坪井康次, 松村 明, 能勢忠男: "内因性血管新生抑制物質thrombospondin-1によるglioblastomaの増殖抑制"ニューロオンコロジー. 12. 30-32 (2002)

  • [文献書誌] Takano S, Tsuboi K, Matsumura, A, Nose T: "Therapeutic synergy of anti-VEGF antibody and ACNU chemotherapy on tumor growth and angiogenesis in human glioblastoma xenografts"ポストシークエンス時代における脳腫瘍の研究と治療 田淵和雄、白石哲也(編)、九州大学出版会. 333-339 (2002)

  • [文献書誌] Takano S, Tsuboi K, Matsumura A, Nose T: "Anti-vascular endothelial growth factor antibody and nimustine as combined therapy in human glioblastoma xenografts"Neuro-Oncol. 5・1. 1-7 (2003)

  • [文献書誌] 高野晋吾: "脳腫瘍のキーワード・Tumor angiogenesis抑制療法"Clinical Neuroscience. (in press). (2003)

  • [文献書誌] 高野晋吾, 室井 愛, 阿久津博義, 佐藤弘茂, 松村 明: "下垂体腺腫におけるVEGF発現と血管構築"日本内分泌学会誌. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Matsumura A, Takano S, Nagata M, Anno I, Nose T: "Cervical intramedullary gliofibroma in a child"Pediatric Neurosurgery. 36. 105-110 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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