(1)脊髄損傷後の脊髄中心管の上衣細胞(神経幹細胞)の動態を調べるために螢光色素DiIをラット側脳室内に投与し、上衣細胞を標識した後、脊髄損傷モデルを作製した。脊髄損傷モデルは、脊髄後索を中心にmicroscissorsで切断することにより作製した。脊髄損傷5日後、標識された細胞は中心管から脊髄白質を中心に広く分布していた。 (2)上記脊髄損傷モデルを作製し、経時的に灌流固定を行ない、中間径フィラメントであるネスチンの抗体を用いて免疫染色を行った。脊髄損傷後、損傷部位を中心にネスチンの発現が増加していた。 (3)ネスチン蛋白のpromoter enhancerを用いて、神経幹細胞に特異的に感染するアデノウイルスベクターを作製した。さらに遺伝子発現を増強するためにcre/LoxP on/off Switching systemを組み合わせた。このアデノウイルスベクターを正常ラットの側脳室へ注入し、脳室および脊髄中心管の上衣細胞に広く感染させることを試みた。Adultラットの側脳室に上記ベクターを109pfu注入し、脊髄をとり出し、LacZ染色を行なった。脊髄中心管の上衣細胞が青く染まり、アデノウイルスベクターが同細胞に感染したことを確認した。
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