研究課題/領域番号 |
14571313
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 倫保 山口大学, 医学部, 教授 (80196873)
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研究分担者 |
前川 剛志 山口大学, 医学部, 教授 (60034972)
藤井 正美 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90181320)
藤澤 博亮 沖縄県立八重山病院, 脳神経外科, 部長(研究職)
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キーワード | 組織プラスミノゲンアクチベータ / 神経毒性 / 興奮性アミノ酸 / 微小透析 / ラット / 免疫組織科学 / 血液脳関門 |
研究概要 |
線溶カスケード分子であるtissue plasminogen activator (tPA)は発生過程および成体において重要な機能を発揮する一方、血栓溶解薬としても臨床使用されているが、中枢神経に対して毒性を有することも知られる。本研究の目的はtPAの中枢神経障害を生化学・組織学的局面から詳細に検討することである。本年度は動物実験モデルの確立を主体とした。成長雄ラットを使用。気管内挿管後、全身麻酔下におき、右頭頂部の骨窓から定位的に膜長3mmの微小透析プローブを刺入する。プローブ中に、種々の濃度に調整したtPA溶液を潅流する。ラット脳を灌流固定し冠状断切片を作成、ヘマトキシリン・エオジン染色を施し光学顕微鏡にて組織学的変化を観察する。さらに形成された病変の大きさを測定する。対照群との比較により組織変化を来すtPA濃度を決定する。本年度は以上の実験モデルの確立に関しては満足する結果が得られたが、免疫組織学的検索までは至っていない。来年度は本年度の結果を踏まえ、好中球の浸潤およびエバンスブルーの前注入による血液脳関門の破綻の評価、さらに抗MAP-2(microtubule-associated protein-2)抗体、抗synaptophysin抗体、抗Laminin抗体、アストロサイトに対する抗GFAP抗体や抗Vimentin抗体、抗ICAM-1抗体などを用いてさらに精密な組織学的検索・免疫組織学的検索を進めていく。病変内の一酸化窒素合成酵素(NOS)の発現やTUNEL染色によるアポトーシスの評価、さらに微小透析法によるグルタミン酸、一酸化窒素代謝産物濃度測定も検討課題として残っている。微小透析プローブ中にグルタミン酸溶液を灌流して、tPAの経動脈あるいは経静脈的投与を行い、形成された病変の大きさを測定することによる、tPAのグルタミン酸神経毒性の増強効果も併せて検討予定である。
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