研究課題
基盤研究(C)
脳血管障害の際に出現する一次虚血病変は遅発性に二次変性病変を障害領域周辺や障害領域に関連した別領域に引き起こす事が知られている。我々はこれまで、ペプチド性神経成長因子・サイトカイン・非ペプチド性神経保護因子の作用について、一次虚血病変阻止効果を中心に検討を進めてきたが、実際の臨床の場では、一次病変出現直後より神経保護因子を投与することが通常である。従って、本研究では、一次病変出現後に神経保護因子(プロサポシン関連ペプチド)を投与し、その二次変性予防効果を検討することを目的とした。具体的には、3分間前脳虚血を負荷したスナネズミを用いて、脳虚血負荷後3日目より、神経保護因子として代表的なプロサポシン関連ペプチドを投与し、学習行動実験を実施した。その後、スナネズミの海馬CA1領域での残存神経細胞数の計測を実施した。さらに初代培養神経細胞を用いてプロサポシン関連ペプチドの神経保護効果と細胞死関連遺伝子の発現に及ぼす影響を調べた。その結果、3分間の前脳虚血を負荷されたスナネズミの海馬CA1領域では1週間目に多くのTUNEL陽性神経細胞が出現した。3分間前脳虚血を負荷して3日(72時間)後から、18-MPを4日間脳室内へ持続注入するとTUNEL陽性神経細胞が、対照動物に比して、有意に減少した。更に、受動的回避学習実験の反応潜時が延長し、海馬CA1錐体神経細胞密度も増加した。一酸化窒素供与体ニトロプルシッドナトリウム(SNP)に神経細胞を短時間暴露するとアポトーシス様神経細胞死が誘導される。18-MPをSNP処理前から投与した場合のみならずSNP処理後に投与した場合でも、アポトーシス様神経細胞死を有意に抑止した。次いで30種以上のアポトーシス関連遺伝子に関してRT-PCR法により調べた所、18-MPによりBcl-xL遺伝子と蛋白の発現が培養神経細胞に誘導された。以上の結果より18-MPにはアポトーシス様神経細胞死を抑制する効果があり、その保護機構に18-MPによるBcl-xL発現増加が関与すると考えられた。
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