研究概要 |
ヒトFasLの細胞外ドメインの三量体を形成させるために、ロイシンジッパーを融合させた蛋白質をデザインした(FLZ-shFasL)。ウイスターラットの尾静脈より投与し、24時間後に頚静脈から採血し、血中の薬物動態を検討すると共に体重、胸腺重量、血中GOT, GPT濃度、血小板を測定した。1.0mg/kgのFLZ-shFasLを静脈内投与すると肝機能障害および胸腺重量の現象などの副作用が認められた。0.3mg/kgの濃度で肝機能障害はきたさなかったが、胸腺重量が減少した。0.2mg/kg以下の濃度では明らかな副作用は認められなかった。0.1mg/kgのFLZ-shFasLを静注すると2分後に304ng/mlの濃度が検出されるが、等量を髄腔内投与すると約1ng/mlしか検出されなかった。 Jurkat細胞に細胞外ドメインのみの可溶型FasLを投与してもアポトーシスは誘導されないが、イソロイシンジッパーにより三量体を形成させたFLZ-shFasLは強い殺細胞効果を示した。それは抗Fas抗体(CH-11)の約10倍以上の効力であった。 ラットFas遺伝子発現プラスミドをC6細胞にtransfectionしてFas高発現細胞(C6-rFas)を選別した。培養上清中に種々の濃度のFLZ-shFasLを添加し、20時間培養後細胞障害活性を測定した。C6-rFas細胞に対してFLZ-shFasLは用量依存的に細胞障害活性を示したが、Fasの発現が低いC6細胞では高濃度でもアポトーシスは誘導されなかった。
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