研究概要 |
平成15年度はカイニン酸扁桃核微量注入により作成した側頭葉てんかん自発発作モデルの連続脳波記録と,海馬transectionを加えることによる変化を検討した.連続脳波記録はPowerLab(ADInstruments, Australia)を用いてデジタル解析・統計処理を行った.記録は1〜2ヵ月行った. 平成15年度に得られた約22匹のてんかん自発発作モデルでの結果では,自発発作は月に4〜8回であった.その内,海馬transectionを加えた群(n=6)では発作は月に1〜2回に減少した.扁桃核から海馬への伝播は著明に抑制され,また二次性全般化発作は消失した.このことは臨床応用に際して,海馬transectionが発作を前兆(単純部分発作)の段階までに抑制し得る可能性を示唆しており,発作が日常生活に支障を来さない程度までコントロールできることは,薬物治療抵抗性側頭葉てんかんの患者さんにとって大いなる福音となると思われた.この結果は第33回日本臨床神経生理学会・学術大会(10月1-3日旭川),第37回日本てんかん学会総会(10月30-31日仙台),57th Annual Meeting of the American Epilepsy Society. (December 5-10,Boston, USA)で学会報告を行い,Epilepsiaに発表した.
|