研究概要 |
脳髄液中に特異的に存在する分泌型プロスタグランジンD合成酵素(PGDS)がくも膜下出血3-5日後に髄液中PGDSが一過性に増加すること,増加したPGDSはビリベルジンを捕捉しておりそのまま尿中に排泄されること,ビリルビンの酸化物が強い血管収縮作用を持つという事実から,PGDSが髄液腔のヘム代謝物を除去して脳血管攣縮を軽減させる機能を持つ可能性を証明することが目的である.本年度は以下の結果を得た. ビリベルジンに結合したPGDSの生体内動態を調べるために.ヒト遺伝子組み換えPGDSをイヌの髄腔内および静脈内へ投与した.髄液腔から血中への移行は投与後約5時間でピークとなった.静脈内投与後の半減期は約10分で.投与量の10%が尿中へ排泄され,残りは代謝された可能性があることが新たに明らかとなった.ビリベルジンと結合したPGDSは酵素活性を失うことも明らかにした(投稿準備中). In vivoではラットくも膜下出血モデルにおけるPGDSのmRNAおよび蛋白の発現実験を行ったが,constitutiveに存在するためcontrolとの差が明らかでなく,さらに実験モデルを改良中である. In vitroのPGDSとneuroglobinとの結合実験,および神経グリア共培養系におけるPGDSによるVEGF発現実験については現在準備中である.
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