研究課題/領域番号 |
14571331
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
内田 耕一 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00176687)
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研究分担者 |
林 拓郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40296611)
河瀬 斌 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40095592)
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キーワード | miniature swine / neuroepithelial stem cell / xenografting / mesencephalic neural plate |
研究概要 |
胎齢10.5日ウィスターラット中脳胞部神経板は、免疫組織学的にnestin陽性かつFGF receptor陽性細胞から構成されていた。この中脳胞部神経板の分化条件での組織培養では、全ての細胞が免疫組織学的に神経細胞へ分化したが、basic FGF(10ng/ml)添加では神経突起の伸展は抑制され、周囲にneurosphereの形成を認めた。さらに、中脳胞部神経板の細胞培養では、basic FGF(10ng/ml)添加においてのみneurosphereの形成を認めた。このbasic FGF反応性neurosphereはnestin陽性細胞からなり、継代培養可能であった。また、このbFGF添加増殖1週以内のneurosphereは、分化条件で培養すると、ほぼ全ての細胞が神経細胞へと分化した。他の増殖因子または栄養因子(FGF、EGF、NGF、BDNF、NT-3、PDGF、CNTF、LIF、IL-1β、TNFα)には神経幹細胞の増殖や特定の分化を誘導する作用はみられなかった。 bFGFにより1週間増殖培養したラット中脳胞部神経板由来神経幹細胞の移植ドナーとしての有用性を評価するため、ドナー細胞をBrdUラベルし、正常ラット線条体へ移植した。移植後、BrdU陽性細胞のホスト脳内における生着を認め、この移植片内にnestin、Hu、GFAP陽性細胞を確認した。特にHuの発現が著明であった。このことから中脳胞部神経板由来bFGF反応性neurosphereは移植環境下においても神経細胞への分化傾向が強いことが分かった。 ヒトへの臨床応用を考慮して、治療用動物として注目されているミニブタを用いて、より有効で実用的な神経幹細胞ドナーの分離を試みた。妊娠17-18日ミニブタにおいて初期胚の摘出は可能であった。胎齢18日ミニブタ初期胚の冠状断切片を作成し、免疫組織化学的検討および電子題微鏡によるその形態の確認を行った。抗human Nestin抗体、抗TuJl抗体による二重染色では、nestin陽性、一部にTuJl陽性の偽多層性を示す未分化細胞が確認できた。抗Musashi-1抗体染色では、すべての細胞がMusashi 1陽性であった。電子顕微鏡では、N/C比の高い、細胞内器官の発達のない未分化細胞が確認できた。
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