研究課題/領域番号 |
14571331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
内田 耕一 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00176687)
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研究分担者 |
河瀬 斌 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40095592)
峯 裕 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10306730)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | neural transplantation / neuroepithrial stem cells / xenograft / functional effect / donor / miniature swine / synapse / neural circuitry reconstruction |
研究概要 |
胎齢10.5日ウィスターラット中脳胞部神経板組織の組織培養では、培養7日後でも血清添加の有無によらず、ほぼ全ての細胞がneurofilament(NF)陽性である神経細胞に分化し、長い突起を有していた。また、glial fibrially acidic protein(GFAP)陽性の星細胞は存在しなかった。また、neurochemical markerに関する検討では、多数のglutamate陽性細胞および少数のtyrosine hydroxylase(TH)陽性細胞とγ-aminobutyric acid(GABA)陽性細胞を認めた。Fibroblast growth factor-2(FGF-2)反応性neurosphereはnestin陽性細胞からなり、継代培養が可能であった。この初代neurosphereを分化条件下で培養すると、組織培養と同様にほぼ全ての細胞がNF陽性神経細胞に分化し、GFAP陽性細胞は認められなかった。以上より、ラット中脳胞部神経板細胞は、FGF-2添加培養1週までは神経細胞への旺盛な分化傾向を維持することが示唆された。neurochemical markerに関する検討では、中脳胞部神経板組織培養と同様、多数のglutamate陽性細胞及び少数のTH陽性細胞とGABA陽性細胞を認めた。 ラット中脳胞部神経板組織又はneurosphereを神経移植ドナーとした正常成熟脳への移植実験では、移植片は長期に渡り生着した。移植片内には多数のHu陽性である神経細胞および少数のGFAP陽性細胞を認めた。特にneurosphereを移植ドナーとした移植実験では、移植2週後の移植片内には多数のHu陽性細胞及び少数のpestin陽性細胞が確認されたが、GFAP陽性細胞は認めなかった。以上より、移植成体脳環境下においても神経上皮型幹細胞の神経細胞への旺盛な分化能が維持される事が示唆された。 ブタ中脳胞部神経管組織をドナーとしたパーキンソン病モデルラットへの移植実験では、周術期1週間の免疫抑制剤投与のみで、移植片は長期に渡り生着した。移植片内にはブタ特異的NF陽性細胞を多数認め、その中にはTH陽性細胞も存在していた。また、電子顕微鏡による観察では、ブタとラット異種神経細胞間に双方向性のシナプス結合が形成され、ドナー由来細胞突起には髄鞘形成も認められた。 ラット中脳胞部神経板またはミニブタ中脳胞部神経管由来神経上皮型幹細胞を神経移植ドナーとしたパーキンソン病モデルラットに対する移植実験では、移植後長期に渡り移植片は生着し、アンフェタミン誘発回転運動による行動学的検討にてホストラットの機能回復を認めた。ラット中脳胞部神経板由来神経上皮型幹細胞による同種移植では経時的な機能回復を認めたが、ミニブタ中脳胞部神経管由来神経上皮型幹細胞による異種移植では移植4週後まで変化なく、その後劇的に回転数が減少し症状改善を認めた。組織学的検討では、両群とも移植後長期の移植片生着を認め、特にミニブタ神経上皮型幹細胞による異種移植では、周術期1週間の免疫抑制剤投与のみで可能であった。ま免疫組織化学的検討では、両群とも移植後早期よりドナー由来TA陽性細胞を認めた。以上より、神経上皮型幹細胞が種を超えたfunctional effectを持ち、神経症状を改善しうる事が示唆された。 これより、神経上皮型幹細胞の損傷神経回路網再建を目的とした脳内移植ドナーとしての可能性が強く示唆された。
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