研究課題/領域番号 |
14571333
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
藤本 司 昭和大学, 医学部, 教授 (60014180)
|
研究分担者 |
長島 梧郎 昭和大学, 医学部, 講師 (70262201)
浅井 潤一郎 昭和大学, 医学部, 講師 (10151010)
鈴木 龍太 昭和大学, 医学部, 助教授 (10119216)
|
キーワード | 血管新生 / 血管新生療法 / 脳梗塞 / 血管性痴呆 / 硬膜 / 血管増殖因子 / 黄連解毒湯 / 当帰芍薬散 |
研究概要 |
脳動脈硬化症の脳血管狭窄により慢性的に脳虚血状態に置かれている脳に、少ない侵襲で豊富な新生血管を得られる手術法RDP(Reversed durapexia)に開発し、その機序の解明、より効果的にするための改良をめざして動物実験を行ってきた。中大脳動脈遮断による虚血巣の周囲では増殖因子の増加、血管の増加を認めたが著明なものではなかった。そこで虚血にさらに硬膜の損傷(切開)を加えると脳表面すなわち硬膜から著明な新生血管が得られることを明らかにした。次に、両側頸動脈血紮により、より臨床例に近いモデルを作成することができた。 今年度のはこのウイスターラットを用いた両側総頸動脈血紮モデルを用いて、硬膜切開とさらに局所に血管増殖因子を作用させその効果を検討した。動物をA.B.Cの3群にわけ、円形の骨窓を作成し、A群では前頭頭頂部の硬膜を露出(対照群)、B群では硬膜露出後硬膜に切開線(RDPの代用)とする。C群にも同様の切開線をおく。皮下に埋没させた持続注入ポンプにA, B群用には人工髄液を、C群用には増殖因子(VEGF&bFGF各10μgを人工髄液に溶解)を入れ、14日間手術創へ持続注入した。こうすることにより人工髄液あるいは増殖因子を骨窓部項膜上に投与した。注入終了14日後に、頭蓋骨をつけたまま脳を固定、脱灰し、この組織に免疫組織染色を行い、新生血管、増殖因子の動態、虚血性変化について検索し、慢性的虚血巣に於ける血管新生の状態、増殖因子の増強作用を検討した。B、C群では梗塞巣より広範囲に増殖因子が出現し、さらに新生血管も増加していた。A群では梗塞があっても脳表面からの血管新生は見られなかった。血管新生はC群でより著明であり、増殖因子の有効性が示唆された。これらの結果はInternal Vascular Biology Meeting, Korean Society for Cerebrovascular Diseaseで発表あるいは特別講演を行った。
|